カカポとは?
カカポ(学名:Strigops habroptilus)は、ニュージーランド固有の大型オウムであり、世界でも珍しい飛べないオウムです。夜行性であり、ユニークな生態を持つことから「フクロウオウム(Owl Parrot)」とも呼ばれます。かつてはニュージーランドの広範囲に分布していましたが、外来捕食者の影響で激減し、現在は絶滅危惧種として厳重に保護されています。
カカポの特徴

体の特徴
カカポは体長約60cm、体重2〜4kgにもなる世界最大級のオウムです。全身が緑と黄色が混じった美しい羽毛で覆われており、地面に擬態しやすい外見をしています。翼はあるものの飛ぶことはできず、代わりに発達した脚で森の中を歩き回ります。
夜行性のライフスタイル
カカポは夜行性で、夜になると活動を開始します。嗅覚が非常に発達しており、食べ物を探す際に重要な役割を果たします。主に植物の葉や果実、種子、樹皮などを食べる草食性の鳥です。
繁殖の特徴
カカポの繁殖は非常に特殊で、「レック(lek)システム」と呼ばれる求愛行動を取ります。オスは繁殖期に特定の場所(レックサイト)に集まり、大きな鳴き声(ブーミング)を発してメスを引き寄せます。しかし、繁殖は数年に一度しか行われず、食料の豊富な年にのみ繁殖が成功するため、個体数の回復が困難です。
カカポの絶滅危機と保護活動
絶滅の危機
カカポの個体数が減少した主な原因は、ヨーロッパ人の入植に伴う外来種(ネコ、イヌ、ネズミ、イタチなど)の導入です。これらの捕食者により、多くのカカポが犠牲になりました。また、森林伐採による生息地の減少も深刻な問題となりました。
保護活動の取り組み
現在、ニュージーランド政府と保護団体は「カカポ回復プログラム(Kākāpō Recovery Programme)」を実施し、カカポの個体数回復に尽力しています。主な取り組みとして、
- 外来捕食者のいない島への移住:現在、カカポは外敵のいない特定の島(コッドフィッシュ島、アンカー島など)で厳重に保護されています。
- 個体管理と繁殖支援:個体ごとにDNA解析を行い、遺伝的多様性を維持しながら繁殖を促進。
- 人工授精の導入:自然繁殖の難しさを補うため、科学者による人工授精が実施。
- GPSによるモニタリング:カカポの行動や健康状態をリアルタイムで追跡し、異常があればすぐに対応。
未来への展望
保護活動の成果により、カカポの個体数は徐々に回復しています。2023年時点での生存個体数は約250羽とされ、数十年前に比べると大幅に増加しました。しかし、依然として絶滅の危機にあるため、継続的な保護活動と生息環境の維持が不可欠です。
まとめ
カカポは世界的にも類を見ないユニークなオウムであり、その生態や繁殖方法は非常に特殊です。しかし、外来捕食者や生息地の破壊によって絶滅寸前にまで追い込まれました。現在、多くの専門家と保護団体が協力しながら個体数回復に努めています。カカポの未来を守るためには、私たち一人ひとりが自然保護に関心を持ち、環境保全の重要性を理解することが大切です。